この事例の依頼主
60代
相談前の状況
母が亡くなり,母の遺産の整理をしていたところ「あるはずの」遺産の大半が消えていた。亡き母名義の預貯金通帳を管理していた姉に対して母名義の預貯金通帳の開示を求めても,姉は開示を拒んだため,遺産分割調停を申し立てた。しかしながら,その調停を通じて母名義の預貯金通帳の開示を求めても,姉は開示を頑なに拒むため,話し合いが完全に行き詰まっていた。
解決への流れ
依頼者が把握している又は心当たりがある範囲内で,母の預貯金口座があると思われる金融機関に対し,母名義の口座の取引履歴の開示を求めました。それにより幸い母名義の口座の取引履歴を得ることが出来ましたので,その履歴を精査すると,案の定,長期間に亘り,1回あたりの高額な引き出しが頻繁に確認されました。そこで,母の預貯金通帳を管理していた姉夫婦に対し「母による不当利得返還請求/母による損害賠償請求」を相続したという形で,両請求にて提訴しました。その結果,引き出しの際に「母の承諾がなかった」事実が判決で認定されました。不当利得返還請求については「実際に引き出し行為を行った姉」について認められ,損害賠償請求については姉夫婦が共同不法行為者と認定されました。それにより,結論としては,姉夫婦両者に対し,母名義の口座から母の承諾なく引き出された金員について,依頼者様の法定相続分に応じた返金請求が認められました。
相続人の一人が故人の預貯金通帳を管理していた場合,その人物が故人の預貯金通帳の開示を拒むことは少なくありません。そのような場合でも,平成21年1月22日の最高裁判決により,共同相続人のうち1人でも金融機関に対して故人の口座の取引履歴の開示請求が出来るようになりましたので,まずはこの方法による遺産調査が可能です。その結果,故人の取引履歴から明らかに不審な支出が相次いでいる場合,そして,それが何らかの事情で故人自身ではなく共同相続人の一人が故人の口座を管理していたような場合には,その人物による使い込みの危険が疑われますので,そのような場合はいつでもご相談下さい。