この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
ご相談者Aさんは、20年近く前に複数の貸金業者から借入をしましたが、返済ができず夜逃げをしました。そして、Aさんは、その後、返済を放置しながら居所を転々とし、長年役所に住民登録の異動届もしていませんでした。その後、Aさんが、現在の居所を住民票上の住所として定めたところ、過去にAさんが借入をしていた業者から債権を譲り受けたというB会社より、借入残とその残元金の数倍に膨れ上がった遅延損害金を支払えとの督促状が送られてきました。驚いたAさんが、事務所に相談に来られました。
解決への流れ
弁済期から長期間が経過していたので、B会社の債権が消滅時効にかかっている可能性が大でした。そこで、B会社に対し、Aさんの代理人として消滅時効の援用通知を内容証明郵便で送りました。時効援用通知は、翌日にはB会社に配達され、B会社が当方の時効主張を受け入れて債務処理は完了しました。
貸金債権の消滅時効期間は、債権者が会社(商人)であるときは5年、個人(商人以外)であるときは10年です。債権は、弁済期から消滅時効期間が経過すれば当然に時効消滅するわけではなく、時効援用の意思表示をして初めて債権が時効消滅します。そこで、時効の援用は、援用の事実や時期が明確に証拠として残るように、通常は時効援用通知を配達証明付きの内容証明郵便で送付して行います。但し、時効完成前に、債権者が貸金請求訴訟を提起していた場合は、時効が中断され、判決確定時から改めて10年の時効期間が進行します。借主が、転居しても住民票上の住所を変えず、転居先を明らかにしないときは、債権者は、貸金請求訴訟を提起し、公示送達の方法で訴状等を債務者に送達させて判決を取得することができます。その場合、借主側は、自分に対する判決が存在する事実すら知らないことになります。このような場合もあり得ますので、時効期間さえ経過すれば必ず消滅時効が完成するわけではないことには注意が必要です。債権者が複数いる場合は、時効の援用は、各債権者ごとの個別対応となります。債権者の中に時効が完成していない債権者がおり、その債権額が相当な金額である場合は、全ての債権者をひっくるめて自己破産や個人再生、任意整理などの手続きを検討しなければなりません。